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2009/11/11

太平洋戦争と日本人ー4

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死なない、生きて帰るんだという熱意にも関わらず、戦友の一人が彼と再会したときに、「宮部久蔵」は特攻隊に居ました。生きて帰るという熱意はどうなってしまったのか? なんで彼は特攻に志願したのか? このポイントは小説全体を通じてあまり明確ではありません。のちにやくざの親分となったこの戦友がなぜ特攻に志願したかを聞いても宮部は明瞭な回答をしていないように思います。「あなたが援護してくれるなら安心だ」と答えただけでした。

この部分は読者が想像をたくましくして理由を発見するよりしようがないようです。生きて帰りたいという願望は強くなればなるほど、彼自身の所属する旧帝国海軍航空隊という場所、死んでいく戦友達と矛盾していきます。彼は訓練、実戦を含めて何回も戦友を命の危機から救っていますが、戦友たちを救いたいという思いも強くなればなるほど自分が生き残らなければならないという強い願望と矛盾してくることでしょう。

425pxa6m5_zero_model_52_cockpitちょっと想像がすぎるのかもしれませんが、彼が特攻に志願した理由はひとりの戦友を救うことが理由だったのではないかとも思います。この戦友は宮部が特攻に志願する前にも彼によって救われており、のちに彼の家族に深いかかわりを持っていきます。まだ読んでいない人のために詳細をここに記述することは避けますが、宮部久蔵自身が意識したかしないかはわかりませんが、結果的に彼の特攻への志願はこの戦友を救うことになります。それも特攻当日乗る戦闘機を取り替えてまでこの戦友が生き残るようにしむけたように思えてなりません。

もし宮部久蔵が意識しなかったとすれば、なにか人知を超えた大きな力が働いたのかもしれません。小説だから好きなことを書けるとかたずけてしまうのは簡単です。しかし実際にこういう偶然や偶発事項がその後の運命を方向づけて行くことはよくあります。この最後の部分を読みながら、自分がもしアパートから一戸建ての賃貸に引っ越さなかったら、もし引っ越したとしても犬を飼わなかったら今の自宅に住んでいないと思うと、連鎖反応の力強さを思い知らされます。

逆に町を歩いていてたまたま一戸建て賃貸の広告を見つけたこと、すぐに電話してコンタクトしたこと、ほとんどその日のうちに賃貸が成立したことなど、この連鎖反応にひきずりまわされていたような気もします。宮部久蔵の場合も自分の気づかない大きな力に突き動かされていたのかもしれません。

天地人の時も思いましたが、良質の本というのはただ面白いばかりでなく、読んでいる最中、読んだ後に読者にいろいろなことを考えさせます。宮部久蔵という旧日本帝国海軍航空隊特攻のパイロットがサンフランシスコに住んでいる自分と関係がありようがないとも思うのですが、私が経験した通りいろいろな自分の人生の各部に思いが及びました。この本の質が高いとおもうゆえんです。日本と日本人ということも深く考えさせられました。ただ戦争犯罪ということだけでなく、日本と日本人が背負っている歴史と言う見地からも考えることが多かったので、次回まとめとして紹介したいと思います。

前回の英語の問題は「歩兵隊は英語で何と言うか」でした。これは「Infantry」とう英語です。戦争英語は関係ないと思われるかもしれませんが、ボキャブラリーとして持っておくと読む力が増しますよ。それでは次回の問題は「艦隊、戦隊、飛行隊」という英語は何でしょうか?

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